狡猾なる手口
大量窃盗犯による計画的犯罪への対抗策とは

 

小売店舗を大きく悩ます、『計画的大量窃盗』は、多くの小売業を苦しめる大きな悩みの種となっています。この背景には、転売先となるフリマアプリの拡大も大きく関わっており、小売店舗にとって早急に解決すべき大きな課題の一つとなっています。未だ落ち着く兆しが見えないコロナ感染状況の中、政府方針により徐々に訪日外国人の受入れ状況も緩和されつつあり、今後外国人の大量窃盗団による犯罪が増加することも懸念されます。今回はこの『大量窃盗』の実例や対応策などをまとめご紹介させて頂きます。

1.大量窃盗(団)による実例

大量窃盗事件の例を挙げると、まず今年5月に報道された家電量販店を対象に10年間で累計1億越えの窃盗を繰り返した結果、組織犯罪処罰法違反(犯罪収益隠匿)により逮捕された無職の男性の事件です。この犯人は、三重県に始まり、愛知県、大阪府、静岡県など18府県の家電量販店に毎日のように通い、ワイヤレスイヤホンや脱毛器等を万引し続けたと供述しています。被害金額が億を超えたことで、『万引き』ではなく『億引き』と話題になった事例です。更に、今年6月には北海道でベトナム人による化粧品やビタミン剤の大量盗難被害が発生、被害総額約400万円、母国に転売か?という報道が流れました。この窃盗団は逮捕されましたが、この犯行は被害総額400万円に至るまで、およそ31件もの盗みを繰り返した結果によるものでした。また同じく今年8月には新潟、福島、山梨など6県にまたがり、計44件、被害総額約480万円もの大量盗難被害が発生したこと等も報道されています。このように、店内が広く、取り扱い商品を豊富に品揃えする店舗が狙われる傾向が強く、加えて、他県にまたがり犯行に及ぶケースが多いことが分かります。

2.大量窃盗(団)の犯行手口

大量窃盗被害は、『大量窃盗団』と『職業的に万引を繰り返す連続広域犯』に分けられますが、共通していることは狙う商品(群)が決まっていることです。前者は指示された商品指定で大量に犯行を行います。後者はフリマサイトなどで人気があり高く転売できる商品になるので、本人がある程度の知識を持った同じ商品群を狙う傾向があります。また、窃盗団は、多くの場合、人数はおよそ2-3名程度、役割を決め、以前は商品を盗む実行犯を、従業員・スタッフに気づかれないよう複数人で取り囲み、気づかれないように商品を盗んでいくという手法が多く見受けられましたが、最近では事前に下見をしたり、一般客になりすまし、おとりになる犯人が従業員に敢えて声掛けすることで注意を引き付け、その隙に商品を外へ持ち出すという周到な手口も増えております。実際、従業員・スタッフは全てのお客様に対し気を配ることは出来ない為、防ぐ事が難しいのが正直なところのようです。

3. 大量盗難に効果のある対策

大量盗難に限らず、万引は被害情報を元に対策することになります。ソフト面では、来店時の声掛けや、巡回、売場のメンテナンス、万引防止啓発の店内アナウンスなど様々な対策が挙げられます。ここでは最近注目されていますハード面でのシステムを二つご紹介します。

顔認証技術

米国では窃盗団による被害が横行しており、この顔認証技術を用いた防犯対策に乗り出している企業が増えているそうです。国内でも大手小売店舗の一部で導入されており、仕組みとしては、既に被害にあった際に取得済みの犯人の顔画像を事前に顔認証システム上に登録しておき、出入口に設置された監視カメラの映像を登録済みの犯人の顔画像と照合し、マッチングしたら店舗責任者のスマホに通知するというものです。ただこの仕組みは顔情報をそのまま活用する為、個人情報となることから、自社内のみでの活用となります。

車番認証

組織ぐるみの窃盗団は、複数人で犯行に及び、商品を大量に盗んでいく為、自動車を用いて犯行に及ぶケースが圧倒的に多い。つまり、小売店舗では過去に盗まれた際に取得済みの車両ナンバーを事前に登録しておき、駐車場に導入する車番認証カメラで照合、そのナンバーを備えた車両が駐車場に訪れた際に、店舗責任者の保有するスマホ等に通知するという仕組みです。ただ駐車場での画像解析による車番認証は日照や設置場所に依存し認証精度にばらつきが出るという課題もあります。

以上の二つのシステムの効果はマークする対象(過去の被害情報)の数に影響されます。

4.「EMLINX」で発覚した大量窃盗団の傾向

上述の通り、大量窃盗団は短時間で工夫をしながら行われる為、小売店舗の担当者も盗まれた後に気づくしかなく、次にどこで発生するか予測できるものでもなく、防犯ゲートや監視カメラを導入することで防犯対策を講じるものの、捕まえるのは容易ではありませんでした。

この状況を打開する為に、当社『高千穂交易』は、店舗で発生する万引・盗難被害等の情報を共有することを可能にした全く新しいクラウド型防犯サービス「EMLINX」を開発しました。このシステムに蓄積された情報を調査・分析することで、これまでの防犯機器だけでは把握することが困難であった、万引・盗難被害の手口や傾向等を把握することが出来るようになりました。

更に、この「EMLINX」に蓄積された情報から、近隣にある系列店や同業態の店舗を渡り歩きながら犯行に及ばれている事実を見つけ、その情報から来店時に気づく事ができ、結果的に万引を現認し捕まえることに成功したという事例がいくつもありました。これはあくまで一例に過ぎませんが、このEMLINXに蓄積される情報が更に増える事で、大量窃盗に限らず、店舗を脅かす『万引対策』に貢献するソリューションになってくれることを期待しております。

まとめ

既に政府では訪日外国人の受け入れ準備を進めており、外国人による大量窃盗のリスクはより高まってくることが懸念されます。被害を未然に防ぐために、新たな対策について検討されてみてはいかがでしょうか。

 

 

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