効果的な万引き対策とは?
被害の現状と万引きされやすい店舗の特徴

万引きは1件の被害額が少ないケースが多く、やった側も「たかが万引き」と軽く捉えがちです。しかし、件数が増えれば店舗にとっては甚大な被害となり、万引きが原因で廃業に追い込まれるケースすらあります。万引き被害の現状や、万引きされやすい店舗の特徴、また万引き対策についてまとめました。

1.万引き被害の現状

警視庁が発表している『警察白書』によると、2017年における全国の万引き認知件数は108,009件となっています。この数字は2009年の150,059件をピークに年々減少してはいますが、依然として万引きの発生件数は非常に多く、実際に検挙に至った数も認知件数の70%前後にとどまっているのが現状です。さらに、これはあくまで認知されている件数であって、実際にはこの10倍にものぼる被害が発生していると推定されています。

また、経済産業省が発表した2017年の『商業統計』によれば、全国における万引きの被害額は、年間およそ4600億円にものぼることが明らかになっています。あまりに巨額でイメージがつかみにくい数字ですが、1日あたりで算出するとおよそ12億6000万円と考えると、被害額の大きさが実感できるのではないでしょうか。

こうした数字を追ってみると、万引きは1件の被害額が少ないケースが多いとはいえ、小売店にとって大きな影響を及ぼす犯罪であることに変わりはありません。

例えば販売価格1,000円、原価800円の商品が盗まれてしまった場合、損失を埋めるためには単純に計算しても商品を4つ売らなければいけなくなります。せっかく売り上げをあげても、たった1件の万引きでその努力が無駄になってしまうと考えると、決して「たかが万引き」ではすまされません。書籍など利益率の低い商品の場合、万引き1件あたりの被害はさらに大きなものになります。

こうした理由もあり、被害規模によっては万引きにより店舗が廃業に追い込まれる「万引き倒産」に至るケースもあります。小売店の経営者にとって、万引き対策は最優先で取り組むべき課題の一つといえるでしょう。

2.万引きされやすい店舗の特徴

小売店にとっては決して軽視できない万引犯罪ですが、具体的にはどのような店舗で多く発生しているのでしょうか。警視庁が2019年10月に発表した『万引きに関する調査研究報告書』によると、万引き被害が発生している業種は以下のとおり、ある程度のかたよりがあることが明らかになっています。

万引き犯行店舗の業種

スーパーマーケット 46%

コンビニ 20%

デパート・ホームセンター・家電量販店 13%

ドラッグストア 5%

書店 4%

衣料品店 4%

一般商店・雑貨店・その他 9%

同調査では、年齢と犯行に及ぶ店舗にはある程度の相関関係があるとしています。例えば、12歳以下の少年の万引きはコンビニが多く、高齢者ほどスーパーマーケットでの犯罪が多いこと、ドラッグストアや書店は20-34歳代の犯行が多いことが指摘されています。こうした調査結果を見ると、犯人は自身の身近な店舗で犯行に及んでいることがうかがえるでしょう。

また、万引きの被害にあいやすいのは業種だけでなく、店舗の管理体制も大きな要因になりうるとされています。具体的には、店内が以下のような状況になっていないか確認してみましょう。

・店舗内に死角が多い:店員の目の届きにくい広い店舗や、什器が並ぶことで死角が多い店舗は万引き犯に狙われやすいとされています。

・防犯対策をしていない:防犯カメラや警備員の巡回などがない店舗は、万引き犯が安心して犯行に及ぶことができる環境を作っていることになります。

・従業員の数が少ない:従業員の数が少なくレジや在庫管理で手一杯の店舗は、店内への目が届きにくく万引き犯に目をつけられやすくなります。

※万引きの具体的な手口については、以下の記事で詳細に説明しています。ぜひ合わせてご参照ください。

No.2「万引き手口」の記事と内部リンク

3.店舗における万引き対策

万引き対策は犯罪の抑制はもちろん、店舗経営の安定化という意味でも重要な取り組みといえます。小売店が取り組みやすい万引き対策には、以下のようなものがあります。

防犯カメラ

防犯カメラは昔からある万引き対策の一つで、非常に多くの店舗で導入されています。防犯カメラは万引きが起こったことを記録したり、店内の死角を減らすなどの効果もありますが、それ以外に警察に提出する際の証拠にしたり、疑わしい人物を映像に収めて犯人情報を共有したり、従業員の不正を防止したりするなどの効果があります。

設置するだけでも犯罪抑止効果があるため、最近はダミーのカメラを設置する店舗も増えていますが、なれている犯人からすれば配線だけでダミーかどうかを区別できる場合もあるため、できれば本物のカメラを設置することをおすすめします。

防犯ゲート

店舗の出入り口に防犯ゲートを設置するのも、よく見られる万引き対策のひとつです。商品一つひとつに専用のタグを付ける手間はかかりますが、未会計の商品を外に持ち出すのが非常に難しくなり、またゲートがあるだけで犯罪の抑止力になるという効果もあります。

一方で、出入り口のゲートは電源を抜かれてしまうと動作しなくなってしまうことに注意が必要です。導入の際は電源を壁の中に埋め込んだり、鍵付きのガードプレートを用いるなどして、犯人にコンセントを抜かれないよう対策をする必要があります。

保安警備員(万引きGメン)

万引き対策として店舗内に保安警備員(いわゆる万引きGメン)を常駐させるのも、高い効果が期待できます。万引きした犯人に声をかけて店舗や警察に引き渡すほか、警備員が店内を巡回しているというだけで、万引きの抑止力になります。

機械ではなく人が直接店舗内を見張るため、非常に高い効果が期待できる方法ですが、費用がかかることから小規模店舗では導入しにくいといったデメリットもあります。

店舗間の情報共有

万引き犯への対抗手段として、店舗間で犯人の情報を共有し犯罪防止に役立てるという方法もあります。犯人はいったん目をつけた店舗に何度も通い、そこで万引きを繰り返す傾向にあります。そのため、近隣の店舗間で犯人の情報を共有しておけば、設備投資に多額の費用をかけることなく、また最小限の業務負担でスムーズに万引き犯を発見することにつながります。

EMLINX(エムリンクス)』はクラウドサーバーを利用して、対象者の画像や性別、おおよその年齢などの情報をリスト化し、近隣の店舗間で共有できるサービスです。複数の事業者で協力しネットワークを組むことで、スムーズに犯人を発見し、最小限の労力で万引きを防ぐことが可能です。万引き被害にお悩みの際は、ぜひお気軽に当社までお問い合わせください。

まとめ:経営に大きな被害をもたらす前に対策を

万引き犯は個人だけでなく、窃盗団のように集団で店舗を狙うケースもあり、対策なしに万引きを防ぐことは困難です。経営に大きな被害をもたらす前にしっかりと対策し、万引きしにくい店舗づくりを心がけることが大切です。

 

参考サイト:

警察白書 | 警視庁

万引きに関する報告書 | 警視庁

商業統計 | 経済産業省

 

 

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