万引き防止の新たなソリューション
地域防犯の効果と取り組み例

万引き防止の新たなソリューション、地域防犯の効果と取り組み例

安全で住みやすいまちを作るためには、警察に頼るだけでなく地域ぐるみで防犯に取り組む「地域防犯」という意識が重要です。地域防犯の効果や実際の取り組み例、そして小売店舗にとって頭を悩ますタネとなっている万引き対策についてまとめました。

1.地域で安全なまちをつくる取り組み

警視庁が毎年まとめている『警察白書』によると、2020年に全国で発生した刑法犯の認知件数は614,231件にのぼることが発表されています。この数は2002年に戦後最多の約285万件に至ったのをピークに減少を続けていますが、1日あたりに直すと約1,680件となり、今なおこれだけの数の犯罪が毎日どこかで起きていることになります。

この数字は刑法犯の認知件数であり、殺人・強盗などの凶悪犯罪も含まれたすべての犯罪の総件数です。ただ、空き巣や万引きなどの窃盗、詐欺、わいせつなど比較的身近な犯罪も多く含まれていることを考えると、決して他人事ではないと言えるでしょう。また、これらはあくまで被害届などにより、警察が犯罪の発生を認知した件数であり、実際に起こった件数とは異なる点にも留意が必要です。

一般的に、犯罪の取り締まりは警察の仕事と認知されています。しかし、これだけの犯罪が毎日起こっていることを考えると、警察だけに頼るのではなく住民同士が協力しあい犯罪防止に取り組むことが重要です。

警視庁が地域の防犯対策についてまとめた『住まいる防犯110番』によると、住居侵入を狙った犯罪者が犯行をあきらめる理由は「声をかけられた」が63%と最も多く、「補助錠(34%)」「セキュリティシステム(31%)」などの防犯対策よりも大きな効果があることがわかっています。犯罪者が嫌うのはやはり人の目であり、地域ぐるみで犯罪防止に取り組むことが、安全なまちを維持することにもつながります。

こうした地域ぐるみで取り組む犯罪防止活動は「地域防犯」と呼ばれており、近年は警察以外にも防犯ボランティアや自治体、学校などが連携して行っています。近年は犯罪の手口も多様化しており、青少年や高齢者が被害者になるケースも少なくありません。安心安全に暮らせるまちを実現するためには、地域防犯はなくてはならない活動と言えるでしょう。

2.地域防犯の取り組み例

地域防犯に取り組む際は、地域住民や店舗などが一丸となって防犯活動を行っていくことが重要です。その具体的な取り組みの例をご紹介します。

ボランティアによる見回り

ボランティアによる見回り活動は、地域防犯の最も一般的な取り組みといえるでしょう。地域のお父さんたちが中心となり、夜間など人気の少ない時間帯にパトロールを行ったり、週末などに子供が集まる公園を見回ったりする活動が例としてあげられます。また、地域によっては犬を散歩させる際に、腕章を着用して見回りを兼ねているケースもあります。犯罪者はとくに人の目を嫌う傾向にあるため、見回り活動は地域防犯に大きな効果があります。

声かけ運動

日常生活の中で近隣住民や子どもたちが積極的にあいさつなど声を掛け合うことを推奨するのも効果的な取り組みです。犯罪者は声をかけられることで、自分が見られていることを意識することになり、犯罪行為におよびにくくなります。また、住民同士が声を掛け合うことでコミュニケーションが生まれ、お互いに様子を気遣えるようになるのも防犯効果があります。

防犯カメラの設置

自治体によっては街頭犯罪の減少を目的として、積極的に防犯カメラを設置しているケースもあります。街頭犯罪には自転車やオートバイによるひったくり、車上ねらい、自動車泥棒、わいせつなどさまざまなものがあります。防犯カメラはこうした犯罪を抑制する効果があり、また仮に犯罪が起こったとしてもスムーズに解決につなげることができます。

環境美化運動

環境犯罪学には「割れ窓理論」という考え方があり、建物の窓ガラスが割れているのを放置すると、たとえ1枚でも地域全体が荒れているように見え、犯罪が増えると言われています。そのため、地域で集団清掃を行ったり、花や植物を増やすなどして環境美化に取り組むのも地域防犯の効果的な取り組みとされています。

万引き防止パトロール

地域の店舗にとって、万引きはいつも悩みのタネといえます。全国の万引き被害は1年で4,615億円にものぼるという試算もあり、1件あたりの被害は小さいといっても決して軽視できない犯罪です。そのため、パトロールを行ったり情報交換をするなど、地域住民や店舗同士で協力して万引き防止に取り組むことが重要です。

3.地域で万引きを防止する「EMLINX

安心安全で暮らせるまちを実現するためには、地域ぐるみで犯罪防止に取り組む「地域防犯」に取り組むことが重要です。近年は、小売店を悩ませる万引き対策にもこうした「地域防犯」の考え方を取り入れたソリューションが登場し、注目を集めています。

万引きは空き巣や詐欺、強盗、わいせつなど他の犯罪に比べると1件あたりの被害が小さく「たかが万引き」と小さく見られる傾向にあります。しかし、1件の被害は少額でも数が増えると決して無視できない金額となり、それが原因で廃業に追い込まれるケースすらあります。

さらに、店舗にとっては対策のために高額な防犯設備の導入を強いられたり、限られたスタッフで対応しなければならないため業務負担が増えたりといった弊害が生まれます。当然のことですが、店舗にとっては決して「たかが」ですまされることではありません。

万引き対策のための設備投資費用は高額で、しかも店舗の負担は増え続ける。しかし対策をしないと万引き犯が増えて店舗経営に甚大な影響をおよぼす。こうした店舗の現状を「地域防犯」という新しい発想で解決するのが「EMLINX(エムリンクス)」です。

万引きは一般消費者の人気が高く、ネットオークションで高値がつくなど換金性の高い商品が狙われやすく、特に多発する店舗では同一人物による犯行が多くなる傾向にあります。そのため、こうした犯人の情報を複数の店舗間で共有し、ネットワークを組んで対処することが効果的です。

EMLINX」はクラウドサーバー経由で被害状況や犯人情報を共有するシステムです。システム上では近隣の店舗で起こった被害状況や万引きの手口などの情報が共有されており、これらを分析することで、自分の店舗ではどのような商品がどのような手口で狙われる可能性があるか、スタッフに事前に周知しておくことができます。そのため、万引き対策のために高額なコストをかけたり、万引き対応に人手を取られたりすることなく、効率的な万引き対策が可能になります。

万引き対策といえば監視カメラや防犯ゲート、万引きGメンなどが一般的ですが、最近は手口も多様化する傾向にあり、従来の万引き対策が通用しないケースも少なくありません。店舗間で情報を共有し、地域の目を張り巡らせることが効果的な万引き防止につながります。

まとめ:地域防犯は、万引き対策の新たなソリューションに

万引きは小売店にとって甚大な被害をもたらす犯罪ですが、最近は手口が多様化するだけでなく、窃盗団が集団で店舗を狙うケースも増えており、対策が非常に困難になってきています。万引き対策の新たなソリューションのひとつとして、地域防犯という考え方に注目してみてはいかがでしょうか。

 

 

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