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これまで監視カメラで撮影された映像は、同じ施設内に設置された録画装置にケーブル接続し保存する方法が一般的でした。デジタルテクノロジーや、インターネットの急速な技術進化により、難しいとされていた高解像度の監視映像を束ねてリモート監視するだけでなく、そのままの映像品質を保ちながら、最近流行りのクラウド環境下に保存する企業も増えてきました。ここでは、監視映像の保存先をクラウドにするメリットをまとめました。

クラウドカメラの市場規模

総務省が発表している『令和3年情報通信白書』によると、クラウドサービスを一部でも利用している企業の割合は68.7%となり、そのクラウドサービス効果については、「非常に効果があった」又は「ある程度効果があった」と回答した企業の割合は87.1%と、有効性が示されています。この技術進化は、映像監視システム(VMS)でも注目度が高まっており、クラウド化の波は確実に訪れています。富士経済が発表した『2021年セキュリティ関連市場の展望』によると、監視カメラシステムの国内市場規模は2021年に100億円規模となり、今後さらなる成長が期待されております。

しかしながら、未だ数多くの企業では、クラウド化する理由を見いだせず、オンプレで十分だと理解されている企業も非常に多いことが分かっております。この記事では、クラウドで実現する映像監視システム(VMS)に対し、企業が期待するメリットを説明してまいります。

 

VSaaSとは

必要な機能を必要な分だけサービスとして利用できるようにしたソフトウェアもしくはその提供形態のことを総じてSaaS(Software As A Service)と呼ばれ、昨今のDX化の波に乗じて多くの企業が新規参入を果たしています。このSaaS市場は、富士キメラ総研がまとめた報告書『ソフトウェアビジネス新市場2021年版』によると2025年に1.5兆円になると言われており、その中でも映像を活用したサービスをVSaaS(Video SaaS)と呼ばれております。このサービスには、映像の保存、映像の監視、管理アラート、サイバーセキュリティ対策などが含まれています。それでは、映像監視システム(VSaaS)をクラウドに移行する理由をご説明して参ります。

 

1.システムの導入

従来型のシステムを設置するには、OSのインストール、ルーター設定、ストレージサーバーのセットアップ、監視カメラの導入、アプリケーションの導入など、多くの複雑な手順を踏む必要があります。これまでの仕組みと比較し、クラウド型VMS/VSaaSはオンデマンドで利用する仕組みであり、監視カメラをインターネットに接続されたブリッジに接続するだけの簡単構成です。

2.サポート面

従来型の場合、システムの設定やファームウェア・ソフトウェア等の設定や変更と言ったサポートやメンテナンスは現地に訪問した上で人手により作業をおこなう必要がありました。クラウド型の場合、高品質サーバーがクラウド環境下に用意されており、現地に訪問せずとも設定や更新作業を行うことを可能にしました。

 

3.料金体系

従来の録画装置の場合、ハードウェアとソフトウェアを含む初期投資が高額となります。また継続的なサポート費用は未知数で、障害発生時に障害内容に応じた対策費用をあらかじめ対策費用として算出することが困難となります。またシステムの規模、必要となるカメラとストレージの種類など、用意するハードウェアにより価格にもばらつきが生じます。これがクラウドの場合、一番大きなメリットは初期投資を非常に安価に抑えることができ、また毎月のランニングコストを明確にすることができます。

 

4.ランニングコスト

従来型の録画装置の場合、ランニングコストとして次のものが必要となります。

・年間のサポート費用 ・ルーター設定 ・システム設定とOSのバックアップ ・リモートネットワークアクセス ・ITスタッフの作業時間 ・故障修理 ・スタッフのトレーニング ・ソフトウェアの更新・インストール ・PCクライアントのSWインストール/アップグレード ・集中管理 ・冗長性 ・モバイルアプリ ・映像データバックアップ ・サイバーセキュリティ

 

クラウドサービスの場合、インフラとサポートを共有している為、コスト削減を実現しています。従って、初期費用の他にかかる毎月のランニングコストも低くなります。

 

5.ストレージ保持の柔軟性

従来の録画装置の場合、現場に設置されたサーバーストレージに映像データを保存します。つまり導入時に選定したハードウェアのスペックにより、保存量や保存期間が決まってしまいます。カメラの解像度変更、又は保持期間を延長する場合、追加または交換用のハードウェアを購入し再構成する必要があります。しかしVSaaSの場合、設置したハードウェアに手を加える必要なく、即座に映像の解像度を上げたり保存期間を延長したりすることが可能です。更に、クラウド型システムでは映像の保管に大容量の共有クラウドインフラを利用しているため、大幅なコスト削減と柔軟性を可能にします。 

 

6.カメラの追加と管理

昨今、市場には相当数の監視カメラが販売されております。監視カメラ設置後、新しい監視カメラを追加する場合など、利用者が自ら設置し、再設定する必要があります。当然録画環境をクラウドに変更したとしても、VSaaSは多種多様なアナログカメラやIPカメラを既にサポートしております。

 

7.サイバーセキュリティ対応

従来型の録画装置の場合、自社、またはデータセンターに機器を設置しユーザー企業が独自に管理・運用する方法が一般的ですが、その場合自社で全ての責任を負う必要があり、開発やインフラの整備にコストがかかるのが難点です。一方、クラウド型の場合、アクセス制限・ファイアウォール・脆弱性管理などのセキュリティサービスをプロバイダー側で提供するため、ユーザー側で管理する必要がなくなるのがメリットです。このようにクラウド自体のセキュリティはプロバイダー側が責任を負いますが、ユーザーデータ・ID
・クライアントデータなどクラウド内で扱う情報のセキュリティに関してはユーザー側で責任を負うことになります。

 

8.リモートアクセス

従来型のシステムでは、離れた場所から映像にリモートアクセスできるような構成になっていないことがほとんどであり、顧客の要望に応じて追加される機能です。アクセスした映像品質は実際にリモートアクセスしてみなければ分からず、ストリーミングが途切れる、画質が粗いといった可能性も否定できません。VSaaSの場合、リモートアクセスできるような設計となっており、1対1だけでなく監視カメラが設置された複数拠点の映像をリモートで一元管理することも可能です。またシステムによっては、転送時と保存時に映像を暗号化する事が可能で、視聴は一般的なウェブブラウザやモバイルアプリ経由でも閲覧できるようになりました。

 

9.冗長性と信頼性

従来型の録画装置の冗長レベルは非常に変化しやすく、冗長性を維持するためには社内にITスタッフを配置することが求められます。サーバーを二重構造として片方を待機状態とすることが多いため、間接費もかかります。冗長化されたサーバーは、それ自体利益をうまないため、間接費として追加されてしまいます。クラウドサービスが構築されているデータセンターは二重化・三重化されています。共有インフラによってサーバーを余すことなく活用し、コストを削減することができます。

 

おすすめの映像監視システム:

まずご紹介するのが、『Eagle Eye Cloud VMS』で、米国イーグルアイネットワークスが提供するクラウド監視カメラシステム(VMS)です。特徴は、数あるVMSの中でも特に対応するカメラ機種が多く、アナログカメラ・IPカメラとも利用できるので、既存のカメラを利用したまま、監視体制をクラウド環境に移行することを可能にしました。また監視カメラをクラウドに接続する為のブリッジ機器を用意しており、クラウドにアップロード完了するまではローカルにデータを保持しておくことが可能です。この機能によりデータ損失リスクを防ぎます。さらに『Eagle Eye Cloud VMS』には柔軟な帯域管理機能を備えており、カメラからクラウドにアップロードするデータ量を柔軟に制御することを可能にしました。詳しくはこちらをクリックください。

 

次にご紹介するのが、『CLOVA Vision』で、フルHDの高画質でクラウド録画を低価格帯で提供することを可能にします。さらに高い拡張性を有しており、モーション検知機能を搭載、将来的にはAI解析機能まで用意する予定で、導入後でもシステムを進化させることができます。またクラウドに映像を保存するだけでなく、パソコン、スマホ、タブレットにその映像をダウンロードする機能も有しており、非常に利便性が高いソリューションとなっております。詳しくはこちらをクリックください。

 

まとめ:

冒頭でも述べました通り、あらゆる業界でクラウド化が進むなか、映像監視システムのクラウド化も決して例外ではありません。急速な技術革新、サイバーセキュリティ、フレキシブルな保管方法、スムーズなリモートアクセス等により、常に進化していきます。複数拠点を一元管理したい等のご要望がありましたら、是非ご検討くださいませ。

 

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