物流業界を悩ます『2024年問題』。自動車運転業務に従事するドライバーの時間外労働の上限規制(年960時間)設けることで、『労働環境の改善』や『労働生産性の向上』を求める重要な法案ですが、この改正により物流関連事業者の人手不足が深刻化しています。

この人手不足を解決する手段として、物流業界ではさまざまな取り組みが行われておりますが、
最新の技術やサービスを活用することで『業務効率化』、『人的リソース軽減』を実現する『物流DX』が注目を集めています。この記事では、物流DXの動向と、そのなかで人口知能(AI)を活用した映像クラウドについてご紹介します。

 

1.物流DXの具体的な手段

物流DXとは、国土交通省が公開している資料『最近の物流政策について』の中で、『機械化・デジタル化を通じて物流のこれまでのあり方を変革すること』と定義されています。具体的には下記のようなテーマが検討されています。

(1)物流分野の機会化
   ・ドローン配送
   ・自動運航船
   ・倉庫内作業の自動化
   ・自動配送ロボ

(2)物流のデジタル化
   ・手続きの電子化
   ・配車管理のデジタル化
   ・トラック予約システムの導入
   ・AIを活用したオペレーションの効率化

この中でも、映像クラウドサービスで貢献できる『トラック予約システムの導入』事例について紹介します。

2.映像クラウドとは

映像クラウドは、防犯カメラの映像をインターネットを通じて、クラウド上にあるストレージに録画保存するサービスです。最近では、画像品質の向上、人工知能(AI)技術との連携可能なものも登場、トラブル発生時の記録映像の確認作業、離れた場所から従業員スタッフへの適切な指導・教育、離れた場所からリアルタイムに現場確認できるなど、単に監視カメラで撮影された映像を記録するだけでなく、周辺システムなどと連携し、新しい価値を生み出し続けています。

3.トラック予約システムと映像クラウドの連携事例

上述の通り、『2024年問題』により、輸送トラックの確保が厳しくなり、荷主や一般消費者のニーズに対し、今まで通りの輸送(例えば、長距離輸送など)対応が難しい状況です。その上で、物流倉庫では、以下のような課題が浮上しています。
 
① バース(※1)での待機時間(待ち時間)が長い
② 待機時間発生で、配車の効率化ができない
③ 待機時間が荷卸の後工程へも影響を及ぼし物流コストが増大している

この課題を解決するため、物流倉庫のバース到着時刻の予約、及びトラックの到着受付を実現する「トラック予約受付システム」の導入が数年前より増加していますが、予約しても早朝混雑時の待ち行列はなくならず、また予約しなくてもバース接車できる時間帯があるなど、期待通りの解決策には、ほど遠い状況にあります。一方、トラックドライバーも自分の順番を電光掲示板で随時確認する必要があり、順番が来るまで一切気が抜けず、ドライバーの負担が解消されていないのが現状です。

【待機時間の課題を、映像の遠隔監視、LPR(車両番号認証システム)連携で解消する】
トラック予約受付システムを導入したとしても、システムに登録された予約時間とトラックの現着
時間の乖離(渋滞による遅延等)、また予約した時間よりも早く到着し、予約した時間まで待機しなければならないなど、トラックの現着時間に合わせてシステムが柔軟に調整することが難しいなど、まだまだ問題があります。最近では、この課題を解決する手段として、GPSによるトラックの位置情報を予約システムと連携するシステムなども開発されています。この課題に向けて、従来のトラック予約受付システムと映像クラウドを連携することで、トラックの現着状況に合わせた効果的なタイムスケジュールの構築、及び他の予約トラックの現着状況と合わせ、バースに空きや混雑が発生しないよう調整しながら、ドライバーの待機時間削減を実現します。更に、ドライバーはバースの混雑状況をリアルタイムに映像で確認できるため、実際の状況を見ながら準備を行うことが可能となります。

4.今後の展望

今回ご紹介したトラック予約システムの事例は映像クラウドのほんの一例で、映像クラウドの『物流DX』における応用範囲は多岐に渡ります。例えば、物流管理システム(WMS:Warehouse Management System)とAPI連携することで、商品の紛失や誤配信、遅延等の原因を映像データから確認したり、倉庫内の作業員の動きを映像でトレースすることで作業効率の良し悪しを判断したり、専門担当者が離れた場所から従業員スタッフ教育をするなど、可能性は無限大です。

弊社では、低価格で手軽に導入検討いただける『CLOVA Vision』と、AI技術の搭載、エッジ機能を
兼ね備え、将来の拡張性も高く期待できる『EagleEye』があります。お客様の環境に合わせ、適切なサービスをご提案させていただきます。

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