最近では言語生成AIの分野でChatGPTが注目を集める中、さまざまな事業領域で『AI技術』が活用されています。IDC JAPAN株式会社『国内AIシステム市場予測』によると、2023年度の国内AIシステムの市場規模(エンドユーザー支出額ベース)が3,883億6,700万円(前年比成長率は35.5%)と大きな成長が見込まれています。この市場は今後も成長し続け、2027年度には1兆円を超えると言われているようです。このAI技術は、弊社が携わる防災・防犯分野で活躍する監視カメラへの搭載も進んでいます。今回は監視カメラの領域でAI技術が実現する可能性についてご紹介します。
 

1.AI技術の特性とその可能性

AI(=人工知能)とはコンピューターが人間のような知的な活動を模倣するための技術やシステムを指します。AI技術は次のような特性を保有しています。
 
(1) 学習能力 
AIはデータや経験から学習する能力を持ちます。機械学習やディープラーニングを
用いて、パターンや規則を抽出、新しい情報に適応して改善することができます。
(2) 推論と意思決定
AIは収集した情報を基に論理的な推論や意思決定を行うことができます。複雑な
データを解析することで、問題解決する方法を見つけだします。
(3) 自然言語処理
AIは人間の言語を理解し、生成する能力を持つことがあります。テキストデータの
解析や翻訳、文章の生成(ChatGPTなど)が含まれます。
(4) 認識能力
AIは画像、音声、テキストなどのデータを認識し、その内容を理解する能力を持ち
ます。画像認識や音声認識、自然言語理解などが含まれます。
 
このような特性を活かし、AIは、自動運転、医療診断、言語翻訳、金融取引の分析、工業プロセスの最適化など、幅広く応用されています。ただし、AIには限界もあり、人間の感情や倫理的な判断、創造性といった側面にはまだ到達していない部分もあります。

2.映像分野におけるAI技術の活用事例

映像のAI解析は、コンピュータビジョン(Computer Vision)として知られる分野の一部です。コンピュータビジョンは、画像や動画などの視覚的なデータを解析するための人工知能の技術を指します。以下に映像のAI解析の主な種類をいくつかご紹介します。

(1) 物体検出(Object Detection):

画像や動画内の物体の位置と境界を特定し、クラスやカテゴリを識別します。
物体検出は自動運転、監視カメラ、物体追跡などの応用に使用されます。

(2) 顔検出と顔認識(Face Detection and Face Recognition):

画像やビデオから人の顔を検出し、特定の個人を識別します。顔認識は、
セキュリティシステムや写真管理アプリなどで利用されます。

(3) 特徴点検出(Feature Point Detection):

画像内の重要な特徴点やパターンを検出します。これは画像のマッチングや
トラッキングに使用されます。

(4) 画像分類(Image Classification):

画像を事前に定義されたカテゴリやクラスに分類します。ディープラーニング
を用いたCNN(Convolutional Neural Networks)が広く利用されます。

(5) 姿勢推定(Pose Estimation):

人や動物などの物体の姿勢(ポーズ)を推定します。骨格ベースの推定やポーズの
追跡に利用されます。

これらは一部の主要な映像のAI解析の種類ですが、コンピュータビジョンの分野では常に新しい手法と応用が進展しています。

3.  映像解析におけるAI技術導入の課題

(1) データの品質と量:

AIモデルは大量のデータでトレーニングされることが求められます。適切な品質の
データが不足している場合、モデルの性能が低下する可能性があります。また、データの
収集と整備には手間とコストがかかります。

(2) 倫理的な問題:

AI映像解析は個人情報の保護やプライバシーの問題を引き起こす可能性があります。映像中の
個人を識別する能力や監視カメラの利用に関する倫理的な問題が存在します。

(3) 偏見と公平性:

AIモデルはトレーニングデータに含まれる偏見を学習する可能性があります。特定の人種や
性別に対して不公平な判断をするリスクがあります。公平性の確保は重要な課題です。

(4) 解釈可能性:

AIモデルがどのように判断を下しているのかを解釈することは難しい場合があります。
特に深層学習モデルはブラックボックスとされ、その判断の根拠を説明するのが難しいことがあります。

(5) リアルタイム処理:

映像解析はリアルタイム性が求められることが多いですが、高度な処理を行うためには高い
計算能力が必要です。リアルタイムでの処理を実現するための技術的な課題があります。

(6) 法的な制約と規制:

特定の映像データの使用には法的な制約や規制が存在することがあります。著作権、個人
情報保護法などを遵守する必要があります。

(7) 適切な導入とトレーニング:

AI映像解析技術を組織内で導入する際には、従業員のトレーニングや適切な運用手順の確立が
必要です。技術を活用するための適切なガイドラインを策定する必要があります。

これらの課題に対処しながら、AI映像解析技術を効果的に導入していくためには、専門知識や継続的な監視が必要になることが容易に想像できます。

4.まとめ

米国No.1の導入実績をほこる、Eagle Eyeのクラウド型映像マネジメントシステムでは既にAI解析技術を備えたシステムです。この人工知能を活用したクラウドシステムを実現することにより、防犯・監視カメラと連携するだけで、既存の防犯システムを大きくアップグレードします。現場の状況やセキュリティといったビジネス環境を維持しつつ、監視カメラをよりスマートに管理することが可能です。もしAI映像解析にご興味を持って頂けましたら、是非弊社までお問合せください。

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