RFID(Radio Frequency Identification)という商品識別・認識技術を用いて、資産管理や在庫管理といったシステムを、物流業界や小売業界に向け、製品開発から導入・運用までトータルに提供。今回は、小売業向けRFID不正持ち出し防止システムのゲート型アンテナ「Wave Gate」の開発に関してお話を伺いました。
RFID業界では、それまでゲート型アンテナの筐体は樹脂成形品が一般的でしたので、開発当初は樹脂成形を考えていました。RFIDのアンテナは高さが1m50cmほどあり、そのアンテナを収める樹脂成形品 の金型はサイズが大きなものになってしまい、初期投資が高額になってしまう問題がありました。
鉄板の曲げ加工で成形する方法も考えましたが、小売業の店舗で使用されるのを想定した場合、見栄えがあまり良くない点と量産効果が出ない点が懸念となりました。初期投資を抑えて販売価格に影響しないような構造を模索する中で、アルミ加工が得意な高千穂交易に相談しました。
アルミ押出成形を採用したことでまずは金型投資が低く抑えられました。防犯ゲートを樹脂成形で作ると金型がかなりの大きさになることが予想されましたが、アルミの押出し材を使うことで、断面積サイズの金型となったため、比較的小さい金型にすることができました。
また、アルミの表面処理はとても綺麗で、高級感を出せる点もメリットになりました。当社製品には、アルマイト処理をした上でクリア塗装をし、光沢を出しています。RFIDのアンテナは、店舗の入り口というユーザー様の”顔”となるところに設置されますので、外観を大切にするユーザー様のニーズにも応えることができました。
高千穂交易のアルミ加工技術を採用した最大のメリットは、開発工数が大きく減ったことです。さらに、設計・製造・組み立てまで一貫してお願いできたことで全体の開発コストをぐっと削減しました。
設計の段階から、製品の最終形態(組み立て)を見据えながら共同して行ったので、組み立て工数や部品点数を少なくするための色々なアイディアを提案いただきました。構成部品にはアルミ押出し材だけでなく、通常鉄板を使用する様な箇所にも、アルミ板の曲げ加工品を使うことにし完成させました。
アルミは鉄に比べると比重が軽い点も軽量化につながりましたし、逆に強度が弱いという点がありますが、それについては開発の中で、厚みを増すといった対応で解決しました。
本来なら別の会社に委託するデザインや、電気配線を協力してもらえたことも大きなメリットでした。
設計から組み立てまでを高千穂交易1社にお願いすることで、設計費も含めると、樹脂成形での開発に比べて、1/10以下まで開発コスト削減を実現しました。
コストだけではなく、開発期間も大幅に短縮できました。樹脂成形品では8ヶ月~1年かかる見込みを、デザインから量産設計まで約3ヶ月で完了しました。樹脂成形の場合から、今回外観や製品コンセプトは多少変更したとはいえ、このスピードの速さには驚きました。
開発はもちろん、品質管理も一貫して行えます。結果、ユーザー様にご納得いただける価格や品質に仕上げることができたと思っています。
今回を機に、アルミの軽量性を活かし、リーダライターBOX(リレー端子台や電気機器を納める装置)など、更なる開発も進行中です。
交通系や金融系のカードなど、HF帯という電波帯域を使い、人が持つものに主に使われてきたRFID。近年ではローコストや読み取り距離の長さといった特徴を持つUHF帯の技術が普及し始めています。
製造業においては独の『インダストリー4.0』(第4次産業革命)や米の『インダストリアル・インターネット』など、革新構想を掲げた国家プロジェクトでの取り組みにおいても、モノに取り付ける活用が始まっています。
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事業内容:非接触ICチップの製造及び販売、RFIDタグ(データキャリア)及び周辺機器(リーダライタ)システムの開発、販売など