小売業を悩ます不明ロスを解決する5つの対策

小売業における経営課題の一つである『不明ロス』。万引き犯による被害か、従業員スタッフによる内部不正、それとも会計時の処理誤りなどが原因で発生、棚卸の際に在庫数量が合わないことで発覚します。企業にとっては巨額となるこの不明ロス問題、実際原因が何で、どのように対策すればよいのでしょうか。詳しく見ていきたいと思います。

1.不明ロス発生の主な原因とは 

不明ロスの原因を大別すると、窃盗・万引き56.4%、内部不正5.4%、業者不正0.7%、管理ミス28%(出典:全国小売業不明ロス・店舗セキュリティ実態調査分析報告書参照)と、6割以上が犯罪による被害です。下で詳しく説明します。 

窃盗・万引被害 

原因の半数以上を占める被害が窃盗・万引き被害です。従業員・スタッフが直接犯行現場を現認、警察に通報、結果補足されるケースは非常に稀であり、大半は誰も気づくことなく、店内の商品が盗まれてしまいます。この気づくことが出来なかった被害を『不明ロス』と言います。万引き被害の現状と対策については『効果的な万引き対策とは?被害の現状と万引きされやすい店舗の特徴』を合わせてご覧ください。

内部不正(内引き)

店舗従業員スタッフが原因で商品が消失したり減少したりすることを指しますが、その原因には次の可能性が考えられます。
(1)盗難:従業員が悪意を持って商品が盗まれるケースです。盗難手段はさまざまな手段で行われる可能性があります。

(2)処理誤り:POSレジでの取引ミスや、在庫管理の誤差により発生する損失もまた不明ロスの原因となります。

(3)不正取引: 従業員が不正な手段で商品を処理し、その取引を記録から抹消することがあります。これによって、在庫が不正に減少し、結果的に不明ロスに繋がるケースです。

(4)破損や廃棄の不正利用:従業員が商品を破損させたり、不正に廃棄処分したりして、その商品を自身で利用することがあります。これによって在庫が減少し、不明ロスが生じます。

顧客店舗内で商品を盗んでしまう行為を万引きと言いますが、その中でも犯人不明の被害を不明ロスと判断します。この犯人は顧客を装って来店される場合もあれば、店舗従業員による不正の場合もあります。ここで注目すべきは万引き被害と従業員による内部不正で全体の約70%以上を占め、ここの不明ロス解消、軽減策の大きな一歩と考えられます。 

管理上のミス 

組織の管理プロセスや手順におけるミスや不備が原因で、在庫や商品などの資産が正確にトラッキングされないことによって生じる損失を指します。その原因には次のものが含まれます。

(1)在庫管理の不備: 適切な在庫管理が行われていない場合、商品が正確にトラッキングされず、在庫の不明ロスが生じることがあります。これは手動の在庫管理やシステムの不具合によるものです。

(2)価格設定のミス:商品の価格が正確に設定されていない場合、誤った価格で取引が行われ、損失が生じることがあります。

(3)注文と納品ミス:注文と実際の納品が一致しない場合、在庫が正確に更新されず、不明ロスが生じる可能性があります。

業者不正 

業者不正による不明ロスは、外部の取引先やサプライヤーが悪意をもって、組織に対して商品やサービスを提供する際に行う不正行為によって生じる損失を指します。具体的には、業者が店舗の在庫を不正に盗んだり、不正な手段で取引を行うなどにより、不明ロスが生じることがあります。

 2.不明ロスに向けた具体的な対策 

窃盗・万引き被害に対する具体的な対策についても、効果的な万引き対策とは?被害の現状と万引きされやすい店舗の特徴』をご覧いただきたいのですが、不正内容に応じて、さまざまな対策が実際に取り組まれています。具体的には次の通りです。

防犯カメラ

出入口、陳列棚、レジ周辺など盗難被害が発生しやすい場所に監視カメラを設置することをお勧めします。最近では映像確認を行う際に必要となる録画機も高画質化、クラウド化など、技術革新が進んでおり、選択肢も非常に幅広くなっております。当社でも監視カメラの取り扱いがございますので、どの監視カメラ・録画機を選んでよいかお悩みの場合にはひと声おかけください。

防犯ゲート 

防犯ゲートは、店舗の出口や入口に設置、商品にRFID(Radio-Frequency Identification)またはAM(Acousto-Magnetic)タグを貼付けることで、不正に商品を持ち出そうとすることでアラーム発報させるシステムです。

顔認証システム

顔認証システムを用いた万引き対策は、高度な技術を利用して不正行為や万引きを未然に防ぐことが出来る手段の一つです。主に出入口に専用のカメラを設置し、事前にシステム内に万引き犯の顔情報を登録、顔認証システムが検知するとアラーム発報するシステムです。最近ではAI技術が搭載された、より高度なシステムも登場しています。

保安警備員(万引きGメン)

店舗保安員の役割は、上で説明した防犯システムを活用、店内を巡回し、特に盗難被害が多いと考えられるエリアや、商品陳列棚を重点的に見回ります。また不審者や万引き犯を発見すると、声掛けをし警察に引き渡すことも行います。

情報共有システム『EMLINX(エムリンクス)』

万引きの手口は近年ますます多様化、巧妙化しています。特に万引き常習犯や、窃盗団が組織的に店舗を狙うなど、従来の常識的な万引き対策だけでは十分な対策に至らない恐れがあります。こうした万引きの手口に対抗していくためには、警察や近隣の店舗とも協力しながら、地域で一丸となって万引きを防ぐことが重要になります。

EMLINX(エムリンクス)』はクラウドサーバーを利用して、対象者の画像や性別、おおよその年齢などの情報をリスト化し、近隣の店舗間で共有できるサービスです。複数の事業者で協力しネットワークを組むことで、スムーズに犯人の発見につなげることが可能です。

 3.まとめ:被害情報の蓄積が不明ロス軽減策に

防犯カメラや、防犯ゲートといった物理的な対策は、間違いなく万引き被害に対する抑止力となりますが、それでも『不明ロス』は簡単には軽減されません。店舗従業員スタッフの中には、犯人不明で防犯タグが切り捨てられていたり、商品の中身が抜き取られて空箱だけが放置されているといった被害に遭遇された経験のある方は多いと思いますが、その記録まで残している店舗は多くありません。これら被害情報をEMLINX(エムリンクス)に登録することで、企業全体で発生している被害情報をより具体的に把握でき、蓄積されたデータを分析することで、各企業毎の万引き被害に遭いやすい商品、場所、手口などを共有、対策することが出来るようになります。さらに、棚卸のタイミングで発覚する『不明ロス』の一部は、システムに蓄積された情報を振り返ることで、一部の被害を明らかにすることができ、蓄積されたデータを警察と共有することで、地域安全に繋げられる可能性も高まります。万引き被害にお悩みの方、またEMLINX(エムリンクス)にご興味をお持ちいただけました方は、ぜひお気軽に当社までお問合せください。

 

 

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