ソフトアブソーバーの構造・原理

ソフトアブソーバーの原理

ソフトアブソーバーとは・・?

自動組み立て機械、各種搬送機械、工作機械etc様々な産業機械においては、生産性の向上を目指した結果、機械の可動部が高速化され、その結果発生する、衝撃、振動、騒音等が機械の性能に影響を与えたり、作業環境をかなり悪化させたりしています。ソフトアブソーバーとは、その様な問題を解決してくれる非常に手軽な油圧式緩衝器です。同じような機能を持つ部品として、ゴムやスプリングあるいは空気圧等を利用したものがあります。

ゴム ゴムの弾性変形により衝撃エネルギーを受け止め、そのエネルギーはゴムに蓄積されます。結果的には蓄積されたエネルギーが反発力となって作用するためバウンドを発生する可能性が高いので効率のよい衝撃吸収はできません。一方、コスト的には、非常に安価で取り付けも容易です。
スプリング
A
ゴム同様に弾性変形により衝撃を受け止め、弾性エネルギーとして蓄えます。推進力が無くなると蓄えられたエネルギーが反発力として作用するためゴム同様にバウンド現象が起こりやすくなります。
空気圧
B
空気の圧縮によりゴムやバネと同様に衝撃を受け止め、圧縮された空気は、オリフィスを通じて大気へ放出されるためエネルギーの蓄積は行われません。しかし、急激な圧縮とオリフィスを通じての大気への放出が旨くバランスしないと、スプリング同様バウンド現象が発生します。
油圧
C
D
E
オイルの速度二乗抵抗、及び粘性抵抗により衝撃を吸収し熱エネルギーに変換して大気へ放出するため非常に効率のよい衝撃吸収が可能になります。比較的小型で大きな衝撃吸収ができ、設計により衝撃吸収特性を変化させることも可能です。

エネルギー吸収の原理

下図において、ピストンロッドに物体が衝突すると、その動きはピストンにより圧力室内のオイルに伝えられます。その結果、圧力室内のオイルはインナーチューブに設けられたオリフィスから流出し、その際に圧力室内に圧力が発生します。この油圧にピストンの受圧面積をかけた値が抵抗力として、衝突する物体に作用します。この抵抗力を利用して衝突してくる物体にブレーキをかけ、速度を減速させるのがソフトアブソーバーです。圧力室内に発生する油圧は、オリフィスの大きさ、オイルの粘度等が一定で有れば、衝突する速度の二乗に比例して大きくなります。これを速度二乗抵抗と呼びます。

ソフトアブソーバーの構造

固定式

調整機構がないので、全長寸法は調整式より短くなります。オリフィス設計を特注対応することにより、最適な吸収特性を得ることが可能です。
また、特性のばらつきが少ないため2本以上の並列使用も可能です。