離設防止システム

全国の介護サービス施設が抱える課題の1つとして、『認知症高齢者の増加に伴う徘徊』があげられます。警察庁の発表では、令和元年、全国の警察に届出があった徘徊からの行方不明者数は年間約17,000人にも上っています。施設側は、徘徊によって事故や事件が起こると管理責任が問われ、ご家族からの信頼失墜や関係機関からの評価ダウンへとつながります。努力だけでは防げない現実問題がある中、都内の介護事業者様では、システムを使って限りなく徘徊の可能性を減らすことを検討されていました。

システム概要

ICタグを装着した利用者様が、アンテナを通過し施設外へ出ようすると、事務所に設置された警告灯が音と光でスタッフ様に通知をします。警告灯は、出入口ごとに音と光を変えられるため、どの出入口を通過したかの判別ができます。また、オプションの専用ソフトを使用すると、利用者様とタグの紐づけが行えるため、「誰が」、「いつ」、「どの出入口」を通過したかをデータで把握できるようになります。

導入前の課題を教えてください

利用者様の中で認知症状の強い方が1日5~6名おり、2020年に施設外へ出てしまう離設事故が4件ありました。介護サービス施設は、建物に自由に出入りできるよう担保しておく必要があり、入口に鍵をかけ閉じ込めることはできません。そのため、15分おきに点呼を実施していますが、15分あれば健脚な方だと1km以上離れてしまうこともあり、事故発生時には職員複数名で施設外へ出て、数時間かけ利用者様の安否を確認することもありました。

システム選定ポイント、決め手は何ですか?

なるべく、簡単な方法で確実に離設を防げるシステムを探していました。ストラップにタグが埋め込まれたストラップタグは、検知力が高いことに加え、元々ネームプレートを使っていたので抵抗なく利用者様につけて頂けると思いました。他社からは電池式タイプを提案されましたが、電池切れの発生、小サイズのため紛失する恐れ、利用者様への取付方法が困難という懸念事項がありました。
一般的な商品監視システムに比べるとRFIDシステムは高価ですが、利用者様のことを考えると防犯ゲートと連想させるものではなく、天井タイプの目立たないシステムが良いと思いました。

導入決定から本番稼働までのプロセスを教えてください

まず、センサーを利用したシステムが身体拘束にあたり虐待防止法へ抵触しないか保険者(行政)に問い合わせをしました。次に、施設内で身体拘束廃止委員会を設け、「身体拘束ゼロへの手引き(厚生労働省より発行)」に記載されている、”切迫性”、”非代替性”、”一時性”の3要件を満たしているかについて話し合い、『緊急やむを得ない措置』として扱えることを確認しました。稼働前には利用者様とそのご家族へ、システム導入の目的や理由など丁寧に説明し同意書を交わしています。

導入効果はいかがですか?

導入から4ヶ月で10回以上センサーが発報していますが、施設外に出ることは確実に未然に防げています。”人的”から”人的+システム”で注視することで、早めに気付くことが出来るようになり、業務の効率化が確保出来ております。

今後の展開、ご要望についてお聞かせください

現在、出欠管理を毎日人手で行っているため、基幹システムと連携して出欠管理まで行えるようになると便利だと感じます。
離設に関しては、同様の悩みをもっている病院や介護サービス施設は多く、システム全体の費用がもっと安価になれば、導入へのハードルが低くなると思います。
最後に、お客様の命に係る私たちの悩み事に対し、お客様の尊厳へ配慮を持たせた解決の実現に感謝しております。