ガススプリングの選び方

ガススプリングとは

ガススプリングとは、圧縮されたガスを利用したバネのことです。密閉されたシリンダー内に高圧ガス (不燃性の窒素ガス) を封入しており、 このガスの反力をバネとして使用します。

ガススプリングの特長としては、

  • 金属性のバネと比較しても小型、軽量。
  • バネ定数を小さくできるので、広範囲のストロークでほぼ一定のバネ力が得られる。
  • バネ定数とガス反力を比較的自由な範囲で設定できる。

という点が顕著であり、そのため各種機械や、家具、自動車、OA機器など、小さいスペースで大きなバネ力を得たい場合に、多く利用されています。

 

ガススプリングの構造と機能(SUSPA製の場合)

ガススプリングは、圧力チューブとピストンユニット付きピストンロッドによって構成されています。圧力チューブとピストンロッドへの接続パーツによってお客様のアプリケーションに適した接続が可能です。SUSPAガススプリングの核となるのは特殊なシール/ガイドシステムです。これにより、極端な環境条件でも摩擦が少なく、内部の気密性が保証されます。

ガススプリングには窒素が高圧充填されています。これにより、ピストンロッドの断面に作用する充填圧力が生じ、伸張力が生み出されます。ガススプリングの伸張力がカウンターウェイトよりも大きい場合、ピストンロッドは伸張し、反対に伸張力の方が小さい場合、ピストンロッドは収縮します。伸張速度は機構内の流量断面によって決まります。内部には窒素の他に、潤滑および端部位置での緩衝用に規定量のオイルが入っています。

 

ガススプリングを選ぶ際のポイント

ガススプリングは、使用するシーンやその目的によって、反発力やバネ定数を設定することができます。ではどのようにして選定をすべきでしょうか。注意するポイントとしては、主に4つあります。

✔ガススプリングの取り付け位置に問題はないか

適切な取付位置に設置しないとガススプリングは効果が弱くなってしまいます。回転中心に対して離れるほど力を発揮します。

✔ガススプリングの動作範囲

カバー(蓋・扉)の開閉状態とガススプリングの取付位置が適切でないとカバー(蓋・扉)が開く以上にガススプリングが伸びようとして破損に繋がったり、逆にガススプリングが必要以上に縮まない為にカバー(蓋・扉)が閉まらないといったことが起こってしまいます。

✔重心位置

重心位置は計算上重要な要素です。カバー(蓋・扉)の形状・材質によって重心位置は異なります。開閉に必要な力(操作力)に影響するため、正確な重心位置を把握をしておくことで、より精度の高い選定結果が得られます。

✔操作力

操作力は20~70Nになるようにするのが一般的です。操作力が強すぎたり弱すぎると、勝手に開いたり閉まったり、開けにくい閉まりにくいといった現象に繋がります。

 

ガススプリングの選定お問い合わせ

用途や条件をフォームで回答いただければ、条件に適したガススプリングをご提案いたします。

 

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ガススプリングの選定方法

選定の流れ

ガススプリングを取り付ける構造物の仕様により、大まかな取り付け位置を決め、必要ストローク、最大長を求めます。そして、これに見合った製品を探し、先に設定した取り付け位置に合わせてみて、この製品の反発力が適当かどうかを以下の手順にてチェックします。
開閉に必要な力(以下、操作力)を小さくするという観点からモーメントを算出します。

Mw・・・カバー(蓋・扉)自動モーメント

Mg・・・ガススプリングの反力モーメント

Mh・・・カバー(蓋・扉)操作モーメント

(1)全開時

全開時にガススプリングの力で、カバー(蓋・扉)を開いた状態で保持するためには、

Mw<Mg+Mh

となるように操作力を設定します。
この時の操作力は

Fh=(W×L₁-nFg×L₂)÷L₃

一般的には、この力が-20N~-70Nの範囲に入るようにします。
この操作力Fhがプラスの時、ガス反力だけでは、カバー(蓋・扉)の自重によって閉まってしまいます。
したがって、カバー(蓋・扉)を開いた状態に保持するためには、掛け金・ステーなどを必要とします。
また、あまり操作力のマイナス値が大きいと、閉める時に大きな力を必要とします。

(2)全閉時

全開時と同様にガススプリングを取り付けた状態の操作力は、

Fh=(W×L₁-nFg×L₂)÷L₃

一般的には、この力が20~70Nの範囲に入るようにします。
この操作力Fhがマイナスの時、カバー(蓋・扉)はガススプリングの力だけで開いてしまいます。
これを防ぐためには留め金・マグネットなどで扉を固定してください。

(3)動作途中

ガススプリングと支点の距離、および反発力が、カバー(蓋・扉)の開閉により変化していきますが、前述の全開時・全閉時と計算は同じになります。
一般的にこの途中行程で、支点回りのカバー(蓋・扉)自重モーメントMwとガススプリングのガス反力モーメントMgが釣り合い、操作力がゼロとなる点が出てきます。


全開時、全閉時、動作途中それぞれの計算結果が適当でない時は、取り付け位置や使用ガススプリングを変更するなどして再度、チェックを行ってください。

選定例

設定 上開きのカバー(奥行500mm)、重心位置中央(250mm)、重さ15kg、操作位置先端、80度開ける

検討ガススプリング
 16-2-186-145-A107-B23
 最大長364.5mm、最小長224.5mm、ストローク140mm、反力80~750Nから選択
この場合の値は下記のようになります。

項目 値(座標)
カバー(蓋・扉)の重心位置 X=250 Y=5
ガススプリングの取付位置<蓋・扉側> X₁=242 Y₁=-198
ガススプリングの取付位置<本体側> X₂=107.5 Y₂=-18
回転角度 θ=80
操作位置 X₃=500 Y₃=10
カバー重量(N) W=150
ガススプリング取付本数 n=2

全開時

この時のL₁~L₃は下記のように算出されます。
Fg値は任意の値を設定します。
L₁=38.49
L₂=88.17
L₃=500
Fg=100

Fh=(W×L₁-nFg×L₂)÷L₃にあてはめます。

Fh=((150×38.49)-(2×100×88.17))÷500
 = -23.72
力が-20~-70Nの範囲に入っていることを確認します。

全閉時

この時のL₁~L₃は下記のように算出されます。
Fg値は任意の値を設定します。
L₁=250
L₂=75.07
L₃=500
Fg=130

Fh=(W×L₁-nFg×L₂)÷L₃にあてはめます。

Fh=((150×250)-(2×130×75.07))÷500
 = 35.96
力が20~70Nの範囲に入っていることを確認します。

(1)全開時(2)全閉時 の選定として合っていることが確認できました。

(3)動作途中 として全閉時から全開時までいくつかの地点でも計算を行い、操作力として問題ないことを確かめます。

Fg値の反力は全開時を基準として、製品の仕様によって決まった範囲からお選びください。
全閉時の反力は全開時の反力の1.5倍以下になるように設定してください。製品によっては指定した反力を製造できかねる場合がございます。

 

ガススプリング選定お問い合わせ

選定にお困りの際は用途や条件をフォームで回答いただければ、ご要望に合ったガススプリングをご提案します。

下記フォームに必要事項をご記入の上、送信ください。
(ご注意:カタカナは全角、英数文字は半角でご入力ください。)

取付位置が明確でない場合は範囲を入力ください。
回転中心よりマイナス側にある場合は、マイナス値で入力ください。
取り付け位置が明確でなければ許容範囲で構いません。
また、すべて回転中心からの距離を入力ください。

※内容によっては、ご希望に添えない場合もございますので、その際はご容赦ください。
 標準品・特注品のご案内の最低数量目安は40~100本/ロットとなります。予めご了承ください。

フォームが表示されるまでしばらくお待ち下さい。

恐れ入りますが、しばらくお待ちいただいてもフォームが表示されない場合は、こちらまでお問い合わせください。

関連情報

  • ガススプリングの反力特性

  • ガススプリング 取り扱い上のご注意

弊社取り扱いのガススプリングのご紹介

当社で取り扱いのあるガススプリングをご紹介いたします。

◆ガススプリング SUSPA Liftline

SUSPA社の長年にわたる経験を積み重ねたガススプリングは、機械のフラップ、テーブル、シートやベッドの開閉や傾斜、緩衝に関するお客様の個別の要望に対応可能なソリューションです。





その他

ガススプリングの購入・お見積・その他ご相談

ガススプリングの購入やお見積のご相談は下記よりお願いいたします。

またお探しのガススプリングが見つからない方もお気軽にご相談ください。弊社スタッフが必要な条件・用途をお伺いした上で、最適な製品をご提案いたします。

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