セルフレジと万引き対策 その万引き手口から対策までをご紹介!

拡大し続けるセルフレジの導入に伴い、万引き問題も深刻化しています。セルフレジは、顧客、店舗の双方にとって便利で効率的な買い物体験を提供します。一方で防犯上のリスクが増加する可能性があります。本記事では、セルフレジの利用シーンにおける万引きの実態とその対策についてをご紹介することで、最大のデメリットである万引き行為を防ぐことを目的としています。セルフレジ導入とともに万引き対策を講じることで、店舗の安全性を高め、消費者の安心感を維持することが、セルフレジ導入におけるカギとなります。

セルフレジとは

セルフレジは、店舗において顧客が自分で商品をスキャンし、支払いを行うシステムのことを指します。近年、多くの店舗で導入が進んでおり、利用者が増加しています。セルフレジ化の波は、スーパーマーケット、コンビニエンスストア、百均(百円均一)、レンタルショップ、家具・雑貨店など販売するものや店舗の形態を問わず広がり続けています。

セルフレジ

セルフレジのしくみと使い方

セルフレジは、顧客が自分自身で商品のバーコードをスキャンし、支払いまでを完了するシステムです。

  1. 商品をレジに持っていき、バーコードリーダーで全ての商品をスキャンします。
  2. タッチパネル式の画面の指示に従い、支払い方法を選択します。
  3. 決済を完了します。レシートを確認して退店します。

選択できる支払い方法も多岐に渡り、現金、クレジットカード、電子マネーなどさまざまな選択肢が提供されています。

セルフレジのメリット・デメリット

来店したお客様自身がスキャンから決済までを行うセルフレジ。顧客側にとってのメリットとデメリット、店舗側にとってのメリットとデメリットをそれぞれ見ていきましょう。

セルフレジ利用のメリット

セルフレジの利用には、多くのメリットがあります。まず、買い物客にとって自己完結型のシステムであるセルフレジは、レジ待ちの時間を短縮し、効率的に買い物を済ませることができます。店舗にとってのセルフレジ導入のメリットは人件費の削減が挙げられます。従来の有人レジとは異なり、セルフレジでは顧客が自ら操作を行うため、レジスタッフの数を減らすことが可能です。その結果、店舗は浮いた人件費を他の業務やサービスの向上に投資することができます。

セルフレジ利用のデメリット

セルフレジの導入は、便利で効率的なショッピング体験を提供する一方で、最大のデメリットとして「人目が少ないことによる万引きしやすい環境」に陥ることが挙げられます。ここからは、セルフレジを利用した万引きの手口とその実態を解説し、どのように「万引きしやすい環境」を「万引きしにくい環境」に変えていくかを探っていきます。

セルフレジを利用した万引きの手口

スーパー事務所

セルフレジの導入が進む中、それを悪用した万引きの手口は年々複雑化しています。顧客が自ら商品をスキャンし会計を行うセルフレジでは、悪意を持った一部の利用者がそのシステムの隙を突いて不正行為を行う可能性があります。具体的な手口としては以下の3つが代表的です。

  1. エコバッグなどに未スキャンの商品を入れて持ち出す手法
  2. バーコードを通す振りをして手などで隠してスキャンさせない手法
  3. カートの下段の商品をスキャンせずに持ち去る手法

セルフレジにおける万引きの判断

例示した他にも様々な万引きの手口がある中で、やはり避けては通れないのが法的な基準や意識です。店舗側としては、万引きのような事態が発生した際、それが単なるミスなのか意図的な窃盗なのかを見極めることが非常に重要になります。今一度「万引き」の定義と対処方法を事前に知っておくことで、いざという時に備えましょう。

万引きの法的な判断と対応

万引き行為は刑法上の窃盗罪に該当します。意図的に他人の財産を無断で取得する行為であり、金額の多寡にかかわらず、店舗側は刑事事件として被害届を出すことが可能です*1。さらに、悪質な万引き行為には、刑事罰だけでなく民事訴訟も提起するケースもあります。法律は被害者の損害賠償を認めているため、店舗側が民事訴訟を提起できるのです。

万引きにおける罰則

では、実際に万引きを行った場合、具体的にどのような罰則をうけるのでしょうか?万引きは窃盗罪として「10年以下の懲役、または50万円以下の罰金」が科されるものとされています。事案の重大性や回数によっては、「3年以上の有期懲役」が科せられる可能性もあります*2。また、検挙率も平均70%と非常に高く、罪を逃れる可能性は低いとされます*3

万引き罰則

セルフレジでの万引き

その名称の響き以上に重く裁かれる「万引き行為」。その法的対応が広く周知されることは、セルフレジ導入に伴う「人目がないことによる出来心」による犯行を防ぐ鍵となりそうです。一方で、セルフレジの利用が初めてのユーザーや高齢者が操作を行う際に、「バーコードの読み取りに失敗してしまう」、「複数商品のスキャン漏れ」のような「セルフレジ利用で万引きと勘違いされかねない行為」もおこりえます。これらはいずれも意図的なものではないため、店舗側にも顧客側にも細心の注意が必要となります。

セルフレジ導入店舗の万引き対策

ここまで、セルフレジ導入店舗における万引きが発生しやすく、その判断の難易度が有人レジ店舗以上に高いことが判明しました。
では、セルフレジ導入店舗が万引きや勘違いによる冤罪の発生を防止するためには、何がカギを握るでしょうか?それは、「人の目や人の手が少ないことをカバーする対策」です。研修を通じて一人一人の対応力を上げ、テクノロジーの力を掛け合わせることで、限られた人員でも万引き行為や冤罪を防ぎ、その件数を減らすことは可能です。

スタッフ研修と監視体制の重要性

社員研修

セルフレジでは顧客が自身で商品のスキャンと精算を行うため、そのプロセスにおいて有人レジでとは異なった万引きのリスクや、操作ミスによる冤罪が発生するリスクが高まります。これらを防止するためには、お困りの様子のお客様に対するセルフレジ操作の案内はもちろん、不審な動きを発見した際のお声がけ方法など、事前の研修の徹底が必要不可欠となります。また、全てのレジにスタッフがいない環境下でも、利用者に対してしっかりとした監視の目を意識させることは、万引きへの強力な抑止力となります。実際に、セルフレジ導入店舗の多くは、レジ前に防犯カメラとモニターが一体となった「カメラ一体型モニター」を設置し、万引き行為を抑止しています。

 

防犯カメラとAI技術の活用

防犯カメラはリアルタイムで店内の様子を監視することができますが、人間による監視には限界があり、見逃しや誤認識のリスクがあります。一方、AI技術はデータの解析やパターン認識に長けており、異常行動や不審な動きを即座に検知する能力があります。具体的にはAI技術を搭載した防犯カメラシステムを利用すれば、不審な人物を発見した際に、録画データから同一人物の来店時の過去の行動を簡単に振り返ることが可能です。これにより、万引き常習犯か否かの特定が可能になり、次回来店時の適切な対応により繰り返される万引き行為に終止符を打つことができます。人による全録画データの確認・データ内の犯人の特定が不要なだけでなく、AIによる万引き常習犯来店時の通知システムを導入した場合は、さらなるスタッフの負担軽減が見込めます。

AIカメラ

顔認証システムページ

セキュリティタグと防犯ゲートによる万引きの防止

防犯ゲート

セキュリティタグと防犯ゲートを活用することで、万引き行為が行われてしまっても退店前に商品を持ち去られることを防ぐことができる確率が上がります。セキュリティタグは商品に取り付けられるタグで、タグの解除が行われていない未会計の商品を持った状態で顧客が防犯ゲートを通過すると、警報がなる仕組みとなっています。これにより警備員やスタッフによる即時の対応が可能となります。

万引き発生時の店舗間における情報共有

情報共有

万引きの発生時には、店舗間で迅速に情報を共有することが重要です。特にセルフレジを導入した場合、一店舗だけでなくセルフレジが導入されているであろう系列店舗が狙われるケースも少なくありません。被害を拡大させないための情報共有が迅速に行われることで、犯人が他の店舗で再び万引きを試みる前に対策を講じることができます。店舗の営業を邪魔することなく店舗間でのリアルタイムの情報を共有しできるシステム、犯行手口のデータベースを構築し、各店舗が適宜参照できるシステムであれば、スタッフ研修との相乗効果をもたらし得ます。

万引き発生前の予備動作での防止

万引き犯は商品を盗む前に様々な準備行動を取ることが多く、それを観察することで早期に対策を講じることができます。例えば、店内を長時間徘徊したり、不自然に商品を見つめ続ける、カバンや服の中に商品を隠す動作をするなどの行動が見られることがあります。また、セルフレジ前では、例に挙げたような通常の会計とは異なる操作時の動きが発生しえます。これらの行動は明確に万引きの予兆を示すものであり、パターンを学習し、よく観察することで万引きを予防する効果があります。しかし、人だけによる監視、学習には限界があります。AIによる行動学習で不審な行動を検知、即時にスタッフへの通知がされるまったく新しい万引き防犯システムを導入してみてはいかがでしょうか?通常の店舗営業と防犯対策が両立可能となり、理想的で無理のない警備体制が敷かれるでしょう。

万引き予備動作

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セルフレジ利用者の注意点

セルフレジのスキャン漏れ・入れ忘れミスの防止

スキャン漏れ

セルフレジを利用する際のスキャン漏れ・入れ忘れなどは万引きと勘違いされるリスクがあります。そのため、セルフレジ利用の際は、全商品を確実にかごに入れ、スキャンし、会計前に確認することが大切になります。会計後にはレシートと手荷物の中をチェックし、退店後もレシートを一定期間保管することで、店舗側と利用者本人とでの確認が必要となった場合に備えることができます。

 

セルフレジにおける万引き防止対策のまとめ

セルフレジまとめセルフレジは利用者と店舗双方にメリットを提供しつつ、万引きに関するリスクが存在しています。本記事では、セルフレジのメリットとデメリット、セルフレジにおける万引きの手口、その判断と万引き対策について詳しく説明しました。

セルフレジを導入している店舗は、適切な防犯対策はもちろん、お困りの様子の利用者を発見した際の積極的なお声がけ、定期的なセルフレジの操作案内などの対策を講じる必要があります。また、利用者もセルフレジの正確な操作と確認を心がけ、一定期間レシートを保管するなどトラブルを未然に防ぐ心構えが大切になります。また、冤罪を予防する意味も込めて、セルフレジ操作に関して何か不明点やミスが発生してしまった際は、すぐに近くにいるスタッフや店員に積極的に相談することをこころがけましょう。

セルフレジ導入店舗・セルフレジを利用する方、双方にとってより快適な買い物体験を叶えられるよう、高千穂交易は様々なソリューションの提供、情報発信をおこなってまいります。


(参照)
*1,2
万引きで逮捕されたらどうする? 弁護士はすぐに呼ぶべきか|ベンナビ刑事事件(旧:刑事事件弁護士ナビ) (keiji-pro.com)
セルフレジで万引きしたらバレる? 逮捕の可能性や対処法を解説 | 弁護士JP (ben54.jp)

*3
警察白書