万引きは小売店における避けられない課題ではありますが、特定の環境下で特に発生しやすいことが分かっています。店舗運営者は、被害に遭いやすい店舗に共通する特徴を店内から排除することが課題となります。さっそく以下に主要な特徴を3つ挙げさせていただきます。
万引き犯にとって、店内に死角がたくさんある環境は、人目を避けて行動するのに非常に都合が良くなります。①店内の棚の配置が密である、②棚の高さが高く向こう側が見渡せない、③通路が狭い、といった環境は死角を多くうみだします。商品陳列を工夫し、店舗内の見通しを良くすることで、従業員が顧客をより効果的に監視できるようになり、万引きを未然に防ぐ効果が期待できます。
従業員の数が少ない店舗では、万引き被害が増える傾向にあります。この理由は明確で、従業員が少ないと監視の目が届きにくくなるため、万引き犯が行動しやすい環境ができあがってしまいます。特に繁忙期やセール時など、従業員が忙しい時には、店内の一部が監視不足となりやすく、万引きの発生率を高める可能性があります。実際に、従業員の配置が不十分な店舗では、防犯カメラが設置されている場合でも盗難被害が頻発するという調査結果が出ています。このように、従業員の数が少ないことが万引き犯の「温床」となりうるため、適切な人員配置により、人的監視を強化することが万引き防止の重要な対策となります。
整理されていない商品陳列は万引きを誘発することが多くあります。散乱している商品は、「店舗側が在庫管理をしっかりできていない」と外部から認識される場合があり、それが犯罪心理を刺激する原因になり得ます。多くの人が利用するスーパーや雑貨屋さんはもちろん、特に化粧品のような万引きされやすい商品・高額商品を販売する百貨店、ドラッグストア、アパレルショップなどは、商品陳列も万引き対策において重要となります。商品が整頓されずに散らばった状態で放置されている場合、監視が甘いと判断され、ターゲットとして選ばれやすくなります。店舗を運営する際には、商品の陳列方法も防犯策の一環として意識しましょう。