競争が激化している現代の小売市場において、店舗の売上を持続的にUPさせるためには、詳細なデータ分析が不可欠です。本記事では、売上UPのための具体的なデータ分析方法と、それに基づく実践的な施策を紹介します。
売上拡大のためには、まず売上がどのように構成されているかを理解することが重要です。売上は主に「入店客数」、「購買率」、「平均客単価」という3つの要素のかけ合わせで成り立っています。
店舗に来店したお客様の人数を指します。お客様が来なければ、何をしても売上には繋がりません。
店舗の売上を増やすためには、まずは「入店客数」を増やすことが重要です。
入店客数が多ければ、店内の活気が増し、外から新しいお客様を引き寄せたり、購買欲を高める効果も期待できます。
購買率は「購買率(%) = 商品購入者数 ÷ 来店者数 × 100」で求めることができます。例えば、店舗に80人が来店し、そのうち10人が商品を購入した場合は「10 ÷ 80 × 100」となり、購買率は12.5%となります。
平均客単価とは「お客様1人当たりの平均購入金額」の事です。
「平均客単価=売上高÷購入客数」で求めることができます。より高い売上を確保するためには、一回のお買い物あたりの消費行動を促す仕組みが必要です。
売上を構成する3要素「入店客数」「購買率」「平均客単価」の概要が分かりました。
では、どのような施策を実施すれば「入店客数」「購買率」「平均客単価」を伸ばし、売り上げを上げられるでしょうか?ここではいくつかのアイデアをご紹介していきます。
入店客数を増やすには、店舗の認知度を向上させることが鍵となります。
SNSを活用した広告キャンペーン
定期的にSNSなどで告知を行う、口コミサイトに店舗情報を掲載する、電車内広告やテレビ取材などで認知度を高め、新規顧客の流入を狙いましょう。
地元のイベントへの参加
商店街、市区町村の主催するイベントに合わせて情報誌の広告枠等に店舗情報を掲載、認知度を高めましょう。
こちらの施策は新規顧客はもちろん、既存顧客の流入にも影響します。また、入店客数を増やすためにイベントに併せた商品を掲載してもいいかもしれません。
店舗の立地条件や店舗のデザインを改善する
魅力的な外観やアクセスの良い場所にある店舗は、通行人の興味を引きやすく入店客数を増やす要因となります。
具体的には、ショッピングモール内の人気エリアに移転する、店舗の外装をリニューアルする、看板を目立たせるなどが挙げられます。
購買率を上げるためには、顧客体験の向上が重要です。快適でスムーズな購買体験を提供することで、お客様は購入を決断しやすくなります。
レジ待ち時間の短縮
「セルフレジの導入」、「レジの台数を増加させる」などでレジの待ち時間を軽減できます。列の長さを感じさせないようなレジの配置の工夫も良いでしょう。
スタッフの接客スキル向上
「対応が丁寧」「笑顔で対応する」「質問に対してスムーズな回答が得られる」といった顧客体験は、「この店舗・この人のために購入しよう」と購入の決定を促す場合があります。
また、試食やデモンストレーションといったサービスも意思決定に影響を与え、購買率を高めることができます。
商品配置の最適化
お客様のニーズを把握し、人気商品を目立つ場所に配置する、季節商品を出入口付近に配置する、といった方法で「気になる商品が手に取りやすい位置にある」といった快適な顧客体験を演出できます。
平均客単価を伸ばすためには、商品の付加価値を高めることが重要です。
限定版やコラボ商品を展開する
「限られた量しか流通していない」「ここでしか購入できない」といった商品は、通常の商品よりも希少価値が感じられるため、通常よりも高額な値段設定でも販売可能です。
セット販売やバンドル提案を行う
スタッフからメイン商品に関連するアクセサリや追加商品の割引セットを提案する事で、お得感を演出し、結果的に客単価を伸ばす事が可能です。また、会員アプリやSNSなどで期間の限られたクーポンを発行しておくのも効果的です。
ポイントカードや会員特典を設ける
一定の購入金額でポイントのつくポイントカードを発行し、ポイント獲得のための商品追加購入を狙います。
また、一定ポイントや来店回数で獲得できる会員特典でリピーターの獲得も狙えます。
売上をUPさせる為には、「入店客数」「購買率」「平均客単価」それぞれ異なるアプローチで施策を検討し、各数値を上げていかなければなりません。しかし、その施策に投じることができるリソースや投資には限りがあります。
まずは、どの施策に重点を置くべきかを判断するために、自社・自店の各数値を正確に分析して強みや弱みを把握する必要があります。「入店客数」「購買率」「平均客単価」の各数値を把握する上で必要となる「購入者数」「売上高」はPOSシステムから取得することができます。
この章ではデータ分析をする上で必要となる「入店客数」を取得するためのツールをご紹介します。「現在地(現在の顧客関連データ)」を知り、「分析」「計画」「実行」で「目的地(売上目標)」、までの差を縮めていきましょう!
入店客数を計測するツールとしては、店舗の出入口付近にセンサーを設置し人の通過人数をカウントする「入店カウンター」が一般的です。「入店カウンター」(別名「ピープルカウンター」「トラフィックカウンター」)にはいくつか種類があります。
入口に赤外線センサーを設置し、人が入口を通過して赤外線を遮断した回数を入店者数としてカウントします。安価であることが大きなメリットです。ただし、複数人が同時に通過しても1人としてカウントしてしまったり、入口に看板や観葉植物などを置いてしまうと、知らぬ間に赤外線を遮断してしまいカウントが出来なくなるなど、精度についてはそれほど高くありません。
入口の天井面にサーモセンサーを設置し、人の体温を検知して入店客数をカウントします。精度は95%を超えるタイプが多く、カメラセンサータイプと違い逆光や暗闇など照明条件に左右されることがありません。
カメラ映像から人の動きを検知し、人数をカウントするセンサーです。一眼タイプと二眼タイプがあり、二眼タイプの方が人やモノを立体的に把握できるため精度が高く、95%を超えるタイプが一般的です。カメラ式についてはAIを搭載したタイプもあり、こちらは更に精度が高く、また性別や年代などの属性分析や、カウントから背の低い子供を除外するなど、高機能であることが特徴です。
センサーで取得した入店データを管理する方法として、集計機などを店舗に設置してローカルまたは自社ネットワーク内で運用するオンプレミス型と、データをクラウド上に送りインターネット経由で集計されたデータを閲覧・運用するクラウド型があります。オンプレミス型は、サーバーの初期費用が掛かりますがランニングコストは掛かりません。ローカル・自社ネットワーク内で運用するため、外部からの攻撃を受けにくいというメリットがあります。一方クラウド型は、初期費用は押さえられますがラニングコストが掛かります。メンテナンスや障害対応をクラウドサービス事業者に任せることができ、またソフトウェアが更新されるとユーザーは最新のソフト・機能を利用できるというメリットがあります。
本記事では、売上UPの施策を検討する上で、店舗データ分析が重要であることをお伝えしました。売上の構成3要素(入店客数、購買率、平均客単価)について理解は深まりましたか?3つの要素の数値を改善することで売上もUPします。しかし、それぞれ改善する方法や施策は大きく異なります。自社・自店の実力値を客観的なデータから正確に見極めて、より効率的で効果的な施策を選択し取り組んでみてください。
当社では技術商社の強みを活かし海外・国内問わず、日本の小売業のお客様のニーズに合った様々な製品を取り扱っております。入店カウンターにつきましても、クラウド型入店カウンター「iRetailCloud」をはじめ、AI搭載カメラ型センサー(TDセンサー)、属性分析システムなど幅広くご提案可能です。
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