RFIDシステム 導入事例
佐川グローバルロジスティクス株式会社 様

RFIDで実現する“防災DX”―全国8拠点に導入された防災備蓄管理ソリューション―

事例概要|RFIDによる防災備蓄管理の全体像

RFIDを活用した防災備蓄管理の全体構成図

本システムにより、対策本部・備蓄倉庫・被災地拠点の物資の入出庫・在庫状況をリアルタイムに把握できます。


防災備蓄管理にRFIDを活用した取り組みについて、詳しく知りたい方はこちら

目次

  • 事例概要|RFIDによる防災備蓄管理の全体像
  • 導入の背景|災害時の物資管理が機能しなかった理由
  • 解決策の選択|なぜRFIDだったのか
  • 導入プロセス|短期間・全国展開をどう実現したか
  • 導入効果と今後|防災DXが目指す姿

佐川グローバルロジスティクス株式会社様は、持株会社であるSGホールディングス株式会社様が設立した
「一般財団法人SGH防災サポート財団」(※現在は公益財団法人)と連携し、グループとして災害支援体制の強化に取り組んでいます。

本記事では、同社法人営業部 法人営業課 係長 長谷川 竜也様、主任 塚本 稜様に、災害時の備蓄管理を支えるRFIDシステム導入の取り組みについて伺いました。

導入の背景|災害時の物資管理が機能しなかった理由

左から 佐川グローバルロジスティクス㈱ 法人営業部 法人営業課 係長 長谷川 竜也様、同 主任 塚本 稜様左から、佐川グローバルロジスティクス㈱ 法人営業部 法人営業課 係長 長谷川 竜也様、同 主任 塚本 稜様

 

本日はありがとうございます。まずは、今回の取り組みの背景についてお聞かせください。

長谷川様

はい。SGホールディングスがSGH防災サポート財団を設立し、
私たち佐川グローバルロジスティクスに対して全国8拠点での倉庫運営の依頼がありました。

打ち合わせを重ねる中で、入出荷管理や在庫管理に加えて、令和6年の能登半島地震で明らかになった
“物資管理の難しさ”をどう解決するかが大きなテーマになりました。

そこで私たちからRFID管理の導入を提案し、実際に内閣府にも高く評価いただいたことから全国拠点への導入が決まりました。

 

その課題意識が、組織設立や国との連携につながっていったのですね。

長谷川様

そうですね。SGH防災サポート財団は内閣府と協定を結び、国の物資管理に関する仕組みづくりを進めています。
私たちはその庫内運用を担う立場として、単なる保管にとどまらず
「有事に本当に機能する仕組み」を現場で実現することを重視してきました。
そのためにも、テクノロジーの活用は不可欠だと考えています。

 

塚本様

災害直後は、とにかく情報が錯綜します。電話もつながらない、現地の状況も分からない。
それでも物資は次々と届く。そのときに「ありがたい」と思う反面、
「これをどうさばくのか」という現実的な問題に直面した、そんな声を現場からは多く耳にしました。

善意で集まった支援が、逆に現場の負担になってしまう。
この矛盾を、仕組みの力で解消できないかと考えたのが、防災DXへの取り組みの原点です。

 

解決策の選択|なぜRFIDだったのか

在庫管理といえばバーコード管理も一般的ですが、RFIDを選ばれた理由を教えてください。

長谷川様

災害時の現場を想像したとき、「1点ずつスキャンする作業」が本当にできるのか、という疑問がありました。
停電しているかもしれない、人手も足りない、時間もない。そうした状況で、従来型の管理方法は現実的ではありません。

RFIDも決して万能ではありません。100%正確に読み取れるわけではない。
ただ、仮に80%でも把握できれば、それは“ゼロだった状態”からの大きな前進です。
完璧を求めて立ち止まるより、前に進める技術を選ぶことが重要だと考えました。

導入プロセス|短期間・全国展開をどう実現したか

 

今回の取り組みは検討開始から導入までが非常に短期間だったとお聞きしています。

塚本様

検討自体は2025年2月頃から始まりました。打ち合わせを重ね、7月に方向性が固まり、12月に納品。
おおよそ10か月ほどです。災害はいつ起きるか分かりませんから、スピード感は常に意識しました。

高千穂交易様にも迅速にご対応頂き非常に助かりました。

 

実際の導入にあたって、苦労された点はありましたか。

長谷川様

技術的な観点で言うと、RFIDは保管環境や物資の材質によって読み取り精度が変わります。
特に金属や水分を含む物資は影響を受けやすい。

ですので、机上の設計だけではなく、実際の倉庫での検証を重ねました。
「この配置なら読める」「ここは工夫が必要」といった一つひとつの確認が、最終的な運用の安定性につながります。

災害時に初めて試すのではなく、平時から“できること・できないこと”を把握しておくことが重要です。

 

塚本様

導入して終わり、ではありません。これから実際の運用を通じて、課題は必ず出てくると思います。
ただ、現場が主体的に動ける仕組みが整うこと自体が、大きな価値だと感じています。

実際に検証してみると、「想定どおりにいかない」ことの連続でした。ただ、それは失敗ではなく、運用に近づいた証拠だと捉えています。
現場の方から「この作業動線だと厳しい」、「ここは人が必ず立ち止まる」といった声をもらい、設計を調整しました。

あとは、振り返ってみると、技術的な難しさ以上に大変だったのは、
短期間で全国の拠点を回りながら検証を重ねていったことかもしれません。

現在は、北海道・宮城・埼玉・愛知・大阪・高知・福岡・沖縄の8拠点で導入が完了していますが、
北から南まで、環境条件は本当にさまざまです。
倉庫の広さも違えば、保管している物資の種類も違う。湿度や人の動線まで含めて、同じ条件の現場は一つもありませんでした。

正直なところ、「また次の拠点か」と思うこともありました(笑)。
移動だけでも大変でしたし、現地に行って初めて分かることも多かった。
ただ、その場で見て、確認して、判断して、次に活かす――その積み重ねをやらなければ、
運用としては成立しなかったと思います。

 

長谷川様

そうした中で心強かったのが、高千穂交易の技術の方々に実際に現地へ来ていただき、
都度サポートしていただけたことです。

「この条件なら、ここまでは読める」「ここは工夫が必要」といった判断を、
机上ではなく現場を見ながら一緒に詰めていけたことで、運用の精度は確実に上がっていきました。

RFIDは、机上で完成する仕組みではなく、現場で使われ、現場の中で少しずつ育っていく技術であること。
それを実感できたこと自体が、今回の導入の大きな成果だったと感じています。

導入効果と今後|防災DXが目指す姿

今後の展開について教えてください。

長谷川様

現在、この取り組みを全国8拠点で運用しています。
十分な支援環境が整っていたわけではありませんが、現場の工夫と関係者の皆さまの協力により、
実運用として着実に定着させてきました。

一方で、拠点を継続的に維持し、さらに広げていくためには、私たち物流事業者が担う役割や、
この取り組みがもたらす効果を関係者にしっかり理解していただくことが重要だと考えています。
拠点の活動が社会的に意義のある、持続可能な取り組みとして認識されることが長期的な発展につながります。

こうした現状を踏まえ、今後は今回構築したRFIDの仕組みを基盤に、自治体と連携しながら、
より効率的で標準化された在庫管理モデルの構築を進めていきます。
物流事業者としての知見を活かし、自律的に推進できる運用モデルを確立することで、
公的サービスの質向上と国全体への貢献を実現していきたいと考えています。

 

塚本様

有事の際、最も不足するのは「人」と「時間」です。
もし物資管理に多くの人手を割かなくて済むようになれば、その分、人は被災者一人ひとりの状況を見て判断することに集中できます。

RFIDは単なる在庫管理のためのツールではありません。
情報を早く、正確に共有できることで、「判断のスピード」と「判断の質」を底上げする仕組みだと考えています。

理想は、災害が起きた瞬間に、現場・自治体・支援側が同じ情報を同時に見て、迷わず次の一手を選べる状態です。
その環境が整って初めて、人は“人にしかできない支援”に向き合えるようになる。そこに、防災DXの本質があると思っています。


災害時にも機能するRFID在庫管理について、まずはお気軽にご相談ください


 

導入企業紹介




佐川グローバルロジスティクス株式会社
■本社所在地:東京都品川区
■設立:2013年(創業1981年)
■従業員数:7,478名(2025年4月1日現在)

1981年に創業し、2013年に現在の体制へ移行。
SGホールディングスグループの一員として、
ロジスティクス事業を専門に展開する企業です。
3PL(サードパーティ・ロジスティクス)企業として、
物流コンサルティング、通販物流を中心とした
プラットフォーム物流を展開。

オーダーメイド型物流、輸送チャーターなどを強みとし、
顧客の事業特性や課題に応じた
最適な物流ソリューションを提供しています。
SGホールディングスグループの総合力を背景に、
国内物流から国際物流まで幅広く対応し、
多様化・高度化する物流ニーズに応えています。